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kinomiya

NHKで沖縄戦の特番。戦争を語れる人たちが高齢化し、どんどん少なくなっていく中、筆舌に尽くしがたい戦争体験を語って後世に伝えようとする人たちが増えているという。特に自分が人を殺したという体験は語り難いというか、語れないだろう。でも番組ではそれを語る元日本兵が顔を出して語っていた。この勇気、重さ。その沈黙までカメラは撮っていた。ガマの前で汗が落ち、手を合わせる。

実家では母親が美容室をやっていて、当然いろんなお客さんが来る。
パーマをかけてくれと言ってくる女子高生(母親は断る)や今どきシラミのついた髪の毛でやってくる家族とか。ほとんどが常連客だけど。

お客さんの中に、満州から命からがら引き上げたお婆ちゃんがいる。いまは病気で床に伏しているが以前はよく来ていた。そのお婆ちゃんの引き上げの話。
追ってくるロシア兵。女性は捕まるとレイプされるので髪を切って男装していた。
そのお婆さんは小さいこどもを抱え、祖母も祖父も夫もともに大所帯での逃亡だった。
だが、ついにロシア兵に追いつかれた時、大家族をかばって夫はロシア兵の前に立ちふさがったが、銃剣で斬られ殺された。
夫が立ちふさがってくれたおかげで逃げられたと。
ロシア兵が去った後、たまらず夫のもとに駆け戻ったとき夫はかすかにまだ息もあったという。体を袈裟に斬られ、内臓が飛び出した夫の腹部をもっていた布で縛ったが、やがて息絶えた。

今、そのお婆さんは病気で床に臥しているが、その時の血染めの布はいまも大事に持っているそうだ。孫達はそんなこきたない布は捨ててしまえと言っている。おそらくそのお婆さんが亡くなったら、一緒に棺桶に入れて燃やされるに違いないが、こういう証言や戦争を物語る物はどこかの資料館にぜひ預けていただきたいと思う。
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