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2013.09.16 黄金の蜜
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なぜなら、カミというのは、太古から人間をして心からよかったと思わせてくれてきたものの総称だからである。『ここで暮らす楽しみ』山尾三省


人はどこで自然、またはカミに出会うのだろうか。
そこには断絶がまたがっているように思われる。
断絶は言葉を超えたものであるだろうし、自分が創造し得ないものを前にした沈黙であるだろうし、
絶句や感動であり、それは感謝へとつながっていく。
でもその断絶こそが交通を可能にし、カミを浮かび上がらせる。


庭先でニホンミツバチを養蜂している方が採蜜するというので車で一時間半程かけて遊びに出かけた。ここ最近ミツバチについてあれこれ考えていたら、クローズアップ現代で特集が組まれたりしてシンクロすることが多く、自分でも育ててみたいとふと思うようになった。

ニホンミツバチはとても小さくてかわいらしかった。愛おしいという形容がぴたりとする。
知らない私が巣に近づいたせいか若干慌ただしさを感じたが刺すことはない。
長崎でニホンミツバチを育てていた養蜂家、故久志富士男の名著『我が家にミツバチがやって来た』によると、ニホンミツバチには知性や人間との親和性があるようだ。


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近所の方々を集めて、主催者のKさんが採蜜作業にとりかかる。重箱式の巣箱の上段だけを解体すると一気にそれこそ蜂の巣を叩いたようにミツバチたちが飛び回る。このときの羽音が素晴らしい。音楽を聴いているようだった。



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作業はあっという間に終了し、皆で蜜をねぶる。混じり気のない美しい琥珀色の蜜がこれまた美しい六角形構造の巣穴から惜しげもなくしたたり落ちるのを指ですくってなめる極上の味に舌がしびれるほど感動した。セイヨウミツバチだと味は落ちるようだ。

このあたりはネオニコチノイド系の農薬を使っていない柚や梅の栽培園が広がっており、四方500mから1kmを活動範囲とするニホンミツバチには楽園だろう。そのせいか蜜は濃厚でありながら柑橘系のサッパリした味がした。ニホンミツバチ1匹が生涯に集める蜜の量は小スプーン1杯だという。

自然というものの他に代えがたい比類なき創造の素晴らしさを心底味わい、しばし呆然としてしまった。




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