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空の青みが強すぎて、空に重みを感じてくらくらするのは気温のせいではあるまい。


予報にない通り雨で隣人の干されていた服がただ濡れていく。


近所で祭りがあったのか、普段ガラガラの駐車場が埋め尽くされて風景が変わっていた。
風景が変わると、こちらの情動にも影響を及ぼしテンションが少しあがった。


会社の人たちと遅くまで飲む。
東京はみなが電車通勤なので会社帰りに飲むということは日常茶飯事だったが、
車社会の田舎では、特定の日でしかみなと飲む事がない。
つまりはじけたコミュニケーションの機会が少ない。
だからたまにある飲み会でのみなのはじけ方が半端ない。


飲みの場ではひとりの話しかけが、別の話の展開を生み、結論もなく、
ひろげられた長い絵巻物のように飲むこと食べることと続けられる会話。
話題が脈略もなく、ありえない接続や飛躍を生んでも、だれも気づくことなく続けられる。
耳圧なのか周囲の会話が呪文のように抽象的に聞こえ出す。
普段はおとなしいAくんもいつの間にスイッチが入って饒舌になり空転している。
唯一現実へと引き止めるものは、エアコンの寒さと上司とか部下への言葉使いの違いだけか。
店から店へと移るときのみなの千鳥足やぐだまき、女の人の濃厚な香水がどこからともなく。
上司の遠藤さんが旧友との偶然の再会をはたす。盛り場ではこういうことがよく起きる。
自分も再会したかのような気分になる。
歌を歌い、メニューを見る。もう長い会話を続ける根気はなくなり、センテンスが短くなる。咆哮。食いものが落ちてももう拾わない。
ただの棒切れのようになる。食欲とか睡欲とか性欲とか、帰りたいとか歩きたいとかただそれだけの様態になる。普段は複数の思念、判断、欲求の制御のもとで生きていることに気づく。ただ歩くというわけにはいかないのか。昔、壮絶な暴力沙汰の現場になったいくつかの飲み会を思い出した。人はとつぜんに腹を蹴り、顔を殴る。
トイレで。汚いだろうと思って入ったけど、ぴかぴかに掃除されたトイレに一瞬酔いが覚める。鏡を見れば、そこには規定できない自分以上のものが写っている。
帰りのタクシーの車内での酔気さめやらぬ会話。まだ労働のただなかにある運転手との距離。同じ車内でも別々の世界をみな夢見ている。


家に帰って、バッハの旋律を夜に聴いたせいです。を聴いて寝る。


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