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上司の遠藤さんと繁華街で呑んだ。
唐突な梅雨の晴れ間の時だけ、いまが最も日が長いことを知らされる。


午後七時をすぎても、まだ明るく、
日が沈んでも、名残りの光があたりを明るませ、
呑み屋の窓から湿り気をおびた風が入ってくる。
そんなときにギョーザに壜ビールを痛飲する幸福。
深く酔うと時間が静止する。
永遠に日が沈まないかのような。
流れているテレビの声も遠い。
遠藤さんの愚痴もずっと同じ内容の繰り返しになっている。
愚痴ることで胸がすっとする回路が自分にはないが、
すべてが冗談に見えるという回路は年々磨きがかかっている。


外へ出たら、薄闇ですっかりネオンが瞬いている。
ネオンというのは、酔ったときの世界を想定してつくられていると思った。
酔うとネオンの輪郭が甘くなって、赤や黄色の電飾が今日の生を祝福してくれているかのような感覚にとらわれる。そうすると別の店にもはしごしたくなる。


ボルヘスの著作がつぎつぎと岩波から刊行されているのも生の祝福に近い。


上階の若夫婦がベランダの鯉のぼりをやっと片付けた。


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