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2009.06.25
それは水平線に溶けていきました

最近の晴れた日にはよく夕日が輝いている。
夕日は目に痛くないものだから、ついつい見惚れる。
夕日は寂しいのだけど、不安にさせるそれではなくて、和みも含んでいる。
甘美といった方がいいのか。永遠と名付けたい衝動にかられる。
日本海の夕日は、九州や関東で見るそれとは違っていた。
能登半島を旅した時、曽々木海岸で見た夕日は忘れられない。
スケールが違うというとそれまでだが、地球がひとつの惑星であることが
実感できるし、太古の人間も同じように肩を並べて見ていたのだろうかとも
考えてしまう。「夕焼けこやけ」の歌はここでは似合わない。
もっと大きなものが、ここにはあった。
水平線にかかっていくと、それに合わせるように波の音が静かになっていって、涙がでそうになる。
海鳥たちの鳴き声も、遠くに聞こえるようになる。なにかも遠近が遠くなる。
横にいた友人でさえ、遠くに感じる。
砂浜に体育座りをして、口さえ半開きになりそうなほどの光景だった。
それは“うつくしい”というカテゴリーではなかったし、いつの間に波に足がつかっていても気付かない、何かなのだった。
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