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2011.03.16 良心
生意気すぎるがかわいいので、なでてしまう



ぼろぼろに骨組みだけになった廃墟を前に健康に影響はありません大丈夫です安定していますと説明したり、住民への避難指示は20kmなのに健康に問題ないと言っていた当人たちが50km以上離れたところに退避したり、このさなか建設継続中の原発があったり、津波がつまみに聞こえてきたり、丁寧に同じ段取りで順番に爆発していたり、停電がなければ怒ったり、原発はクリーンなエネルギーだと主張されていたり、なにかここ2,3日はカフカ的な悪夢を見ているようだ。悲劇は喜劇にこれほどまでに似ているとは放射性物質のせいではあるまい。

故郷に戻ってからできた友人が反原発運動の活動家で、オルグされたというわけではないが休日とか彼の属している市民団体の活動を手伝ったりしていた。反原発(あるいは脱原発)という方向性には納得するものの、その市民団体特有の「健全さ」がどうにも苦手で自分には馴染めず抵抗があり、絶妙な距離感をもって接していた。今もだけど。自分の正しさのみを前提に動いている人にある種のもろさを感じてしまって、その組織のなかでも下ネタとかお金儲けの話とか通俗的な会話のできる人たちの方を信用していた。世界を変えるのは、自分は正しいという思いよりも自分は間違っているかもしれないという知性であると言ったのは内田樹氏だったか。

予知や預言は事後的にしか確認されないけど。

いろんな人がいたけど、彼らを支えていたのは万が一事故が起こったら、という万が一の破局を人間として拒否する姿勢だった。反原発の人間に対して、じゃあ携帯もパソコンも電気を使うなよというような幼稚な話が1パターンのように出てくるけど、実際にほとんど電気を使っていない、ある人はほんとに原始的な生活をしている人もいた。万が一を回避するために20年も30年もボランティアで活動し続けるのは相当きつい抵抗だろう。誰からも賞賛されるわけでもないどころか、頭がおかしいとかヒステリックとか左翼団体とか言われ続けて。そして彼らはいまこの事故を起こしてしまった罪を自分のものとして引き受け、つまり敗北として捉えている。そして今日、彼らは原発周辺に住む人たちを九州に疎開させようという計画案を作ってマスコミに話していた。



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