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2011.02.28
夜の中の夜

ちょっと名前のわからない鳥、ぽってりとした感じの鳥がつがいで
梅の咲いた木にとまって、適当についばんで、また飛んでいった。
梅の木って、固く静かに静止している感じがあるので、
その鳥が飛んだときに激しく枝が揺さぶられて、花がぱらぱらと散っていったのは
意外で、記憶に深く刻まれた。ちょうど昼過ぎの曇天のとき。
上映時間が長めの映画を見ると、入りがたいていまだ明るい時で、
小屋を出る時にはもうすっかり外は暗く、空気も冷え込んでいて、
天気さえも変わっていたら、その映画によって
ほんと遠くまで運ばれたような気がする。
つまんない映画だとそういった情景が小屋を出た時になくて、
ただ早く家に帰りたいとだけ思う。
映画「海炭市叙景」が大分のミニシアターでも上映される。
いい映画だった。
原作以上に原作の本質をつかんでいた。
佐藤泰志はタイトルのつけ方が魅力的だ。
「まだ若い廃墟」とか「衛生的生活」とか。
デヴィッド・リンチ後期の映画を何度も見る。
「マルホランド・ドライブ」とか「インランド・エンパイア」とか。
リンチ以外の映画は見なくていいんじゃないのかと思うくらい、魅せられている。
そういえば、自分が一番はじめに小学校の頃、見た映画は
リンチの「エレファント・マン」だった。
何度でも戻ってくるのだ。
映画館の暗闇が途方もなく重要なものに思えた。
夜に暗闇を思う。
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