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人工灯


夏になれば怪談話や心霊ドラマが多く出てくる。
盛夏にゾクッとして涼をえようとする発想はすばらしいが、
表現のレベルとしては年々落ちていっているように思える。

襖を空けると大きい効果音が響いて幽霊が出てきたり、
振り返るとまた大きい効果音がなって視聴者をびっくりさせる手法が濫用されていて質を落としている。
びっくりすることと恐怖することは似ているようで全然違う。
びっくりすることはその場かぎりのショックを与えはするものの、
あくまで一過性のわかりやすいこけおどしで、恐怖表現とは言えない。

これをやることが恐怖を演出していると勘違いしている。

たとえば稲川淳二の怪談表現はとても静かだ。
ワッとおどすような低級なことはしない。
静かに語りあげて、余韻に震える。
心底ゾッとし、一人で眠るのが怖くなりさえする。

恐怖ということで話を続けると、今日ニュースで死刑執行の現場が公開されていた。
そのあまりの清潔な空間が恐ろしかった。
薄暗いコンクリートうちっぱなしのような空間とかではなくて、
新築マンションのような、あかあかとした無菌の空間にゾッとした。


恐怖は人を真面目にする 高橋洋


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