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2010.05.17 存在の瞬間
蒙光囁


ただ時間にまかせて朽ちていけばいいというものではない。
朽ち方にも醜美があるのだと思う。
命の吹き込まれたそれは朽ちてもなお緊張感に満ちている。

禿げるのが嫌なのではなく、どういった禿げ方をするのかが問題なのだといった人がいた。


ちくまから出ている尾崎放哉全句集を買う。
どの句も引用したい誘惑にかられるほど瑞々しく、10句も詠めばお腹いっぱいになってしまう。



なんでもない事の人だかりであつた



郊外の電車に乗りかへた



風の中走り来て手の中のあつい銭





尾崎の句は(もう何度も引用しているが)ヴァージニア・ウルフの「なぜなら人が憶えていない事柄も同じくらい重要だからである」とか「日常の日々は、存在よりも非存在の方をはるかに多く含んでいる」といった言葉を生きている。



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