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2010.05.10
光の振動

絵には(一応)地と図というものがある。
荒っぽく説明すれば背景となる地に見せるための形(?)が描かれてあることだ。
もちろん現実界には地と図などというものはなく恣意的に選択され見られた後に分別される。
それは他の解釈を許さない見ることの政治化でもあるだろう。
エッシャーなんかのだまし絵というのはそこをついているのだが。
でもfukashiさんが興奮するのは地と図のあわい、あるいは地から図への移行、図から地への移行といったフレームのまさに切り替わらんとするところを目撃できた時である。
牛の胴体に文字が刻まれているというより、ここには絶え間ない牛から木材への、木材から牛への変身の振動をfukashiさんは感じとる。
DVD宮崎駿の思考過程もやっと最後の5巻に入り、見終わるのが惜しい。
相変わらず突き刺さってくる言葉を吐き続けているが、そんなことよりも宮崎駿の周囲の環境の空気がデジタルビデオのRGBの色で表現されて、光が震えているようで、酔う。
宮崎駿の誕生日を祝うシーンとか母親を思い出すシーンなんか涙なしには見れないけれど。
人間は信じるに値する存在だと思わせてくれた。
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