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2010.05.01
五月

縦位置の看板は珍しいもののように思えた。
垂直に落ちていく力を何百年と受けているようにも見えた。
それ以上にそらの澄みわたり具合に、切り撮られた過去の大きさに動揺してしまった。
わがアパートの上の階では昼夜問わず赤ん坊が泣いているのが聞こえる。
もうそんな日々が3ヶ月くらいは続いているだろうか。
たまに挨拶をかわす上のご夫婦はまだ20代も前半くらいな感じ。
そんな新婚さんの子育て奮闘ぶりが上から伝わってきそうだ。
沖縄戦やサイパン戦では、洞窟に兵も民間人も隠れて過ごしていたわけだけど、赤ちゃんが泣かれると米兵に見つかってしまうため、親子とも洞窟を出るかその赤ちゃんを殺すかを選ばなければならなかった話を思い出す。
きのう、家から帰るときに2階のベランダに鯉のぼりが立っていて、それがなかなかしっかりとした作りの鯉のぼりで、親の愛情や子どもへの期待感などがなんだかじんわりと伝わっきて、胸があたたかくなった。
上の赤ちゃんの泣き声に刺激されてか、最近はよく想像上の自分の赤ちゃんの夢を見る。
それは確かに目に入れても痛くないなにかであった。
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