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2009.12.10 消防士の夢

ぼくの忘れがたい写真のひとつは、たしか写真の歴史を紹介した本のなかで掲載されていたもので、アメリカかヨーロッパ、たぶんアメリカで撮られたもので、消防士たち10人くらいの集合写真なのだけど、背景が家屋でしかもそれが轟々と燃え盛っており、そして集合写真で集まっている消防士たちはみんなにこにこ笑顔で写っていて、なにか強烈な幸福感というのか、絶望的な状況らしいのだけど、その笑顔が信じがたくすばらしくて、ここにはなにかの境が写っている、というか境がなくなっていると言うべきか、幸福と絶望の境とかこの世とあの世の境とか、そういえば心霊写真に似てなくともない、その背景で燃えている家は、消火訓練で燃やされた家なのかもしれないが、なぜこの燃えあがる絶頂時に写真を撮るのか理解できず、ぼくの知り合いのカメラマンの道を諦めた58歳の人は、みなが棍棒や投石をして闘っているなかでシャッターを押すことができなかったと語ったが、とにかくこの写真から沸きあがる空気感は、ほらあの結婚式での集合写真のようなもので、とにかく麗しく、じぶんはこんな写真が撮りたいなあって思った。そう、なにかの夢のような。消防士の。そしてそれがきちんと写真の表現として評価され、世界写真史の本に載っていて、自分が見る事ができるのがとても嬉しい。今、この本は残念ながら本棚に埋もれてしまって、見つけ出したら、ここに載せまする。


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