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2009.11.21
安堵のにおい

仕事で、ある小学校に訪れて教室に入ると圧倒的な子供のにおいというものがあることに気づかされる。
体臭や頭、衣服、洗剤、石鹸、いろんなものが混じったにおいが鼻腔を満たす。
それはやわらかく限りなく優しく懐かしく親しい匂いだった。
誰もいない教室で、そのにおいだけが圧倒的な存在として空間を満たしている。無音なだけにかえってその存在が際立つ。
このにおいを懐かしく感じるということは、小学校時代は気づかなかったけど、かつて存在していたそれを無意識裡にずっと記憶にとどめていたという証左なのだろう。そのにおいと二十年ぶりくらいに再び出会ったということだ。
それにしても教室や廊下に掲げられている標語の数々は生きることの基本をついていた。
「他人のことを考えて行動しましょう」とか「あいさつははっきりしましょう」とか「ひとの話はよくききましょう」とか「スリッパはきちんとそろえましょう」とか、極めつけは「ルールをまもりましょう」でいまの自分にはほとんどできていないことばかりなのだった。
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