fc2ブログ
2009.11.05 晩秋に咲く
sasanqua


帰りがけに見た月は赤かった。
ここから不吉さを感じて解釈することもできるような赤さ。
あってはならないような。

山茶花の桃色に胸がふるえる。
今日は夕日も桃色だった。
ついでに今日の自分のトレーナーとか下着とかも桃色だった。




生まれてきてよかったと思うとき。生まれなければよかったと思うとき。
その両方が生きているときに、かわりばんこで訪れる実感だろう。
でも前者はどちらかと言えば瞬間的に感じるもので、後者はある時間の持続のなかで感じるもののように思える。
前者は瞬間的なものだが、瞬間ゆえにかその実感は強烈な印象を残すというか、後者を帳消しにするかのような力を持っているように思える。そのときには、いいこととか悪いこととか幸福とか絶望とか消えてしまっているような気がする。

今日、車で目的地までの行き方がわからずカーナビもないので、前を安藤さんに走ってもらって、それについて行くことにした。途中はぐれそうになりながらも長い土手沿いの道を後ろについて追いかけている時に、唐突に自分は生まれてきてよかったなと思ったのだった。
そう感じた理由はいくらでもつけられる。
座席から出た安藤さんのツルンとした後頭部をずっと追いかけていたからとか、永遠とつづくかのような土手沿いの道の光線のすばらしさとか、知らない道を踏破する高揚感とか、途中何度も見失ったので今追いかけている車が全然違う車だったらどうしようとずっとドキドキしていたからとか…。

けど、理由を定めることになんの意味もない。



レヴィ=ストロースが死んだ。100歳。新聞ではレビストロースと書かれてあった。
この巨人から人類はどれだけの遺産を受け継ぐことができた(る)のだろうか。



Secret

TrackBackURL
→http://1000plateaux.blog40.fc2.com/tb.php/282-a16d057c