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2009.10.31 不在のふとん
otentosama


まだ日が昇らないうちから出勤したら、家の前の畑ですでに作業をしているおっちゃんがいた。日が昇るまえの深い青一色の風景でかすかにひとの動いているのが見える。畑でなにやら作業をしている。生の厳粛さというか、荘厳な時間を感じてしまった。朝という時間。なにかが始まっていく感覚。初速。はじまり。商店街なんかシャッターをがらがらと開けたりする音とか好きだ。
父は朝2時半に起きて働いている。なんでも大袈裟に言う人なので、まさかと思ってたけど、実家に泊まったある深夜、2時半すぎにトイレで目が覚めたら、もう父親はいなかった。からっぽのふとんで、父のいた窪みの形が残されていた。その主のいないふとんは、労働の厳しさや生きることの厳粛さをはっきりと伝えていた。どんなことよりも。父はそんな生活をもう20年以上も続けているのだった。17時頃に帰ってきても父の携帯は鳴りやむことなく、神経を休ませない。携帯のなかった時代が牧歌的に思える。携帯はほんと凶悪な発明品だよ、やっぱり。

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