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2009.10.30
会議は踊る

上司の遠藤さんは眩しいときはサングラスをかける。レイバンと呼ばれるものか、西部警察の大門がかけるような、ごついヒットマンのようなサングラスをたまにかける。たぶん度入りサングラスなのだと思う。けっこう似合っていると思うが、見た目は怖い。
以前、経済産業省とか資源エネルギー庁とかのお偉いさんが集まる会議が博多であって、2人で出席したときのこと。車で行ったので、けっこう朝日が眩しくて遠藤さんはそのサングラスをかけていた。現地に到着して車から降りても、遠藤さんはサングラスを外さずそのままだった。まあ、たしかに人はサングラスをかけていたい気分もあると思い、僕は特に突っ込まなかった。でも遠藤さんは会議の席についてもサングラスを外さず、そのままでレジュメを読んだり質疑応答をしていた。大勢の官僚エリートの出席者が卓を囲むなかのサングラスの遠藤さんは異様だった。物言いは柔和なのだが、外見は激しかった。どの発言もすべて冗談に聞こえた。
書かれたレジュメをしげしげと眺めていた遠藤さんはとっさにサングラスを外して、「なんか暗えなあと思ったら、サングラスしたままやった。ふふ」と一人苦笑した。もう会議は終わりに近かった。
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