| Home |
2009.10.21
残照

昨日のニュースで今日の朝は冷え込むということを聞いていたから、それなりに覚悟していたものの、今朝外に出ると予想以上に寒くて、もう一段階季節が進んだのを感じた。こんな冷え込む朝は快晴の証拠。堤防に出たら立ち尽くしてしまうような光景が広がっていた。
自転車漕いで出している手が冷たくて、 おもわずポケットに手を入れてあたためた行為も久方ぶりで冬を思い起こさせた。
大分から日田へとむかう高速道路は、まるで由布岳を愉しむためにつくったのではないのかと思うほど、由布岳を正面に受け止めるヴィジュアルを見ることができて通るものを圧倒する。今日は信じがたいような煌めく朝日だったので、その迫力はいつもより増していた。北側から見る由布岳は崩壊などでいろんな箇所が削られていて彫りが深く、陰影がドラマチックだった。それ以上に驚いたのが麓一面に生えているススキで、朝日を浴びるそれはちょうど腕の産毛が太陽に当たると黄金色に細かく輝くように光に透過されいっせいに同じ方向に揺れる光景はすさまじく、、、奇蹟だ…と呟きたくなった。となりに上司の板 さんがいたので、呟かなかったけど。
映画「ニンゲン合格」のあるシーン。
14歳で交通事故にあって10年間昏睡状態にあった主人公豊。一度だけその家族が病院に集まって豊の誕生日を祝ったということを妹から聞かされると、豊は「あ、俺それ覚えてるよ」と呟く。妹はふざけないでよと取り合わないが。
好きなシーン満載の映画だけど、ここは特に好きで10年前はただのギャグだとしか思えなかったこのシーンも、今見ると、豊は嘘を言っていないと痛感した。優れた作家の描写に、ただのギャグなんてひとつもない。
堤防から朝見た光景に言葉を失った自分の感情や驚きは、どこかこの地球上に残っていると思う。それと同じように昏睡状態だった豊に残ったものも、家族の感情、こういってよければ愛と呼ばれる思いがこの地球上に刻まれ、それをたしかに豊は受け取ったということではなかろうか。その場であれ、10年後の今であれ。それはロマンとかじゃなくて、唯物論的に!
昨日のにゃんこの写真が艶めかしく見えて仕方がない。なんか卑猥ですらある。
| Home |