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2009.10.20 ねこと花
neco


その威容でいつも人を圧倒する由布岳もきょう高速道路から見た頂付近は紅をさしていた。
雄々しい由布岳がこんなに女っぽく色気づくことを知らなかったし、山のほうは既に晩秋をむかえつつあることに虚をつかれた。写真を撮ってもこの陽光に煌く紅をとても再現できないと思い、撮らなかった。しかし、そもそも写真とは再現を目指すのか。一瞬しか現れない相貌を永遠に残すための道具なのだろうか。 でも再現されたためしなんて、一度もないし、その必要もない。


どうにかして写真がもっと散文的なものにならないだろうかと考えている。たとえば、散歩をしているときに感じる茫洋さを茫洋さのままで写し出せないものかとか。知らない人を、そこらへんを歩いている人を撮ってみたいのだけど、でも撮ってもいいですかと聴いて撮ったのでは、もうなにか肝心なものが逃げてしまっているのだ。肖像権とかあるし。ネコを撮るしかないのかな。


いまは合唱コンクールの時期なのだろうか、夜道を歩いていたら中学生が大声で歌を歌いながら帰っていた。J-POPではなくて、学校で歌われるような曲だった。
出くわして一瞬、間があったが、再びその中学生は歌いだした。歌を急激に止めることのほうが恥ずかしいと判断したのだろうか。暗かったので表情とかはわからなかったけど。再度、歌い出した時の方が、声が大きかった。野外で大声で歌っているというのは気持ちよさそうだった。



書くことによって私は他の何ものにもまして必要なことをしているのだと感じている。
ヴァージニア・ウルフ

ヴァージニア・ウルフの本を辞書を引くように毎日つまみ読みすると、んんんだか、その日に花が添えられるような、灯りがともるのを感じるのだった。



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