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2008.11.21 引用-1
tomodachi no ie


「地虫が鳴き始めていた。耳をそばだてるとかすかに聞こえる程だった。耳鳴りのようにも思えた。これから夜を通して、地虫は鳴き続ける。彼は、夜の、冷えた土のにおいを想った。」

中上健次『岬』より

中上の最良の文章は腹にくる。「腹をくくる」とかいう場合の腹だ。

地虫ということで思いだしたのだが、京都の友人宅に泊まっていた時のこと。彼の家は京都の中心部から少し外れたところにあるせいか、田園やら畑やら小川やらが残っている奇蹟的なところで、虫も当然多くいて、秋口、夜半に目が覚めてトイレに行くと、背後の開いた窓からいろんな虫たちの大音量の鳴き声が尾てい骨あたりに一斉に迫ってきて、圧倒されていたのだった。


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