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2008.11.23
流せ

友人が京都に住んでいるため京都を訪れる機会が多い。京都を訪れるたびにその底知れぬ多様さに魅惑されていく。京都の魅力のひとつに鴨川が挙げられると思う。川の表情がゆるくて、やさしくて、かつ清浄なのが憎い。東京の多摩川や隅田川とは違って、人との距離が非常に近い。物理的にも精神的にも。箱庭の中に流れている小川のようだ。
人間三十も過ぎれば、背負いたくないものや背負わざるをおえないもの、人に言えないけど忘れることもできないものなどが蓄積されていく。鴨川の流れをずっと見ていると、そういうものを全て洗い流してくれそうだ。神社が磯の浜辺にあったりするのは、潮の絶え間ない寄せては引いていく力のうちに、物事を潮(塩)とともに洗い清め祓い落とし刷新していく自然の力動を見出したからである。写真は賀茂川と高野川が合流し、鴨川となる好きなポイントのひとつである。奥に見えるのは下鴨神社の糺の森で、それがこのポイントに鎮座するのも故ないことではないだろう。
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