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bingata


京都から出雲へ用事があって出かけた時のこと。

途中、高速バスで大阪の吹田を通るのだが、そこで瞬間見えた万博跡地にある太陽の塔が忘れられない。まったく心の準備なしでバスの窓から見たせいもあるだろうが、岡本太郎が日本にいてよかったと心底思うほど、偉大な建造物だと直観した。

まだ日本に返還される前の沖縄を訪れ、民俗学的論考を自身の実感に依拠し信じがたいほどの明晰さで記述し尽くした名著『沖縄文化論』。

「私を最も感動させたものは、意外にも、まったく何の実体も持っていない-といって差し支えない、御嶽だった。御嶽-つまり神の降る聖所である。この神聖な地域は、礼拝所も建っていなければ、神体も偶像も何もない。森の中のちょっとした、何でもない空地。そこに、うっかりすると見過ごしてしまう粗末な小さい四角の切石が置いてあるだけ。その何にもないということの素晴らしさに私は驚嘆した。」(「何もないこと」の眩暈より)

「芸術は爆発だ!」の白痴的イメージの強い岡本だが、この本を読むと当代一級の知性の持ち主であったことがよく分かる。また本文に掲載されている沖縄の資料写真がゾクゾクするほど素晴らしい。

最近、沖縄の知人ができて、ふとこんな文章を書いてみたのだった。


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