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2008.12.08
へびん湯

別府は湯の町である。湯の国と言ってもいい。湯の湧出量は日本一で、いたるところから立ちのぼる湯煙の風景は、僕のふるさとの原風景の一つ。各地の温泉を巡ったけれど、規模、湯の質、風情ともに別府以上のところはお目にかかっていない。当然秘湯も多く、昨日は友人にその一つのへびん湯に連れて行ってもらった。
へびん湯とは「蛇の湯」がなまったものだろう。山の斜面にあり、電灯もない。昨日は月明かりと残雪の反射光でわずかに周囲を伺い知ることができた。無料である。
この湯にたどり着くまで、未舗装の山道を10分ほど車で進む。かなりガタガタで体が激しく揺さぶられる。低い車体のものはまず無理だろう。
「秘湯」とはゆえ、結構広まっているようで、10人ほどはいたかも。しかも混浴。
闇の中、星月を仰ぎ、周囲の風景と自分の端境が湯煙りとともに曖昧になっていく体験は有り難いものだった。これは無料であることとも関係がある。与えられたものに自足し、感謝する。料金が発生するなら、不平の種も見つけてしまう。
話を広げると、太陽も空気も無料で、本当に尊いものは無料だとつくづく思う。感謝。感謝。
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