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2008.12.21
アントン・ブルックナー

クラシックでは、もうブルックナーしか聴かなくなって久しい。
ブルックナーの交響楽は他のどの交響楽にも似ていない。音楽の「前提」が違う。
ブルックナーの交響楽を聴いていると、いったい誰のためにブルックナーはこの曲を作ったのだろうかとふと疑問に思うことがある。
当たり前かも知れないが、音楽はそれを聴いてくれる人間がいることを前提として作られている。ミスチルもベートーベンもそうだ。人間という聴衆が前提としてある。
だがブルックナーの交響楽を聴いていると、自分をスルーしていく感覚があって、響きの広がり方が自分で完結しないというか、その響きにふさわしいのは、例えて言うなら乳の出をよくするために牛舎にクラシック音楽をかけて牛に聴かせるイメージで、森とか海とか月夜に響き聴かすのが相応しく、それもなにかの天変地異で人類や動物が死滅した後に蓄音機が残っていて、それがループしているイメージ。
そんな広がりのある音楽は他に雅楽しか思い浮かばない。
写真は今日の朝焼け。朝焼けなんて十年ぶりくらいに見たのではなかろうか。そう、こんな朝焼けにもブルックナーの音楽を聴かせたい。
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