fc2ブログ
2009.09.19 黎明
noboru taiyou



今日はいつもより早く起きて外に出たら、見紛うばかりの太陽が昇っていた。
この時間の風景は1分ごとに変わっていく。



僕は東京で新聞奨学生をしていた頃、朝刊は朝3時に起きて6時30分くらいには配達し終わるのだけど、この時間帯の時々刻々と変わる東京の景色がたまらなく好きだった。
僕はこの風景を見るために東京に来た、とさえ思ったほどだった。

イリュミネーション輝く夜の東京タワーより朝の照明の消えた東京タワーの方が好きだった。徐々に徐々に徐々に徐々に暗闇に青い光が差し、ビルや物体に輪郭が与えられていく中を走っていく。クラブの多くある青山周辺では酔い潰れた若者や始発を待つ若者がぶらぶらしていたり、生鮮食品を扱う店はもう準備を始めていたり、こそこそと隠れるようにピンクチラシを配る人がいたり、水商売の人が化粧の崩れた疲れた顔でとぼとぼ歩いていたり、東京のある一面を強烈に見ていた。
そして完全なる朝が来れば、サラリーマンや学生が通勤通学をする「1日の始まり」の風景が展開された。

今は3時とか5時とかは完全に眠っている時間だけど、眠っているからといって存在しないというわけではない。そこにはひそやかに、おごそかに、ささやくような微動する景色が確かに存在している。



Secret

TrackBackURL
→http://1000plateaux.blog40.fc2.com/tb.php/156-ee013964