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2009.09.03
静けさ

静けさはお金で買えない、尊いもののひとつ。
休日の皆が活動していない昼前の、なんでもない静けさに心動かされたり、
蝉が同時に鳴き止んで、それまで背景にあった鳥のさえずりが前面に聞こえてきたり、
静かなるものに、判然とはしないが、なにか世界の強い確信のようなものを感じることがある。
ある幼なじみの両親の耳が不自由だった。その子の家に遊びに行くと、その家にテレビとかラジオとか音の出るものが少なく、また会話が手話によってなされるため、ことのほか静かな家庭で、そのあまりの静かさにかえって居心地が悪かったのを記憶している。でも両親同士の、あるいは親子同士の手話のコミュニケーションに、密なる愛情といったものを子供ながらに感じていた。暗闇の世界より、絶対的な無音の世界の方が想像しにくい。無音の絶対零度の世界で真のコミュニケーションの大切さを思う。
宇宙って、なにか音がするのか。
まだ最良だった頃の北野武監督の「あの夏、いちばん静かな海」が無性に見たくなった。
朝、パラパラと家の壁面を叩く雨音に目が覚め、静けさを破られ、静けさについてパラパラ思考した。
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