fc2ブログ
2012.03.19 ひび
雨が続き、コインランドリーの乾燥機に列ができた。
乾燥が終わってもすぐに取りに来ない人が結構多い。
終わって即取り出すのもなんだし、他人の物を勝手に触るのも抵抗がある。
5分以上待っても、取りに来ない。

列の先頭だった私はなにかしらの決断に迫られている。
壁には「ほかのご利用の方のために終了後はすぐに取り出してください。持ち主がいないとき、取りださせていただく場合があります。」と書いた紙が貼っている。
後ろで待っているフィリッピン人の奥さんが目で取り出しちゃえば、というジェスチャーをしている気がする。
私は後ろめたさを感じつつも、乾燥機の中にある(よりにもよって)大量の洗濯もんを出す。そしてそれは(よりにもよって)女性の下着が多く入っている洗濯もんだった。さっさっさっと無感情に取り出して、自分の洗濯もんを入れて乾燥させる。その場を去り30分後にまた来ることにする。

若干の後ろめたさもあり、戻ったときに一悶着あるかなと覚悟した。多少の論理武装をしなきゃいけないのか。交通事故が起きたときに絶対にこちらから謝ってはいけないというような裁判社会に日本がなっていくことは阻止しなければならない。自分の正しさだけを大声で主張すれば戦争になるだけだろう。

30分経って、すこし緊張しながらコインランドリーに戻る。
あの壁に貼ってあった、取り出させていただきますの主語は私ではなく管理人じゃないのか。管理人だけに許された特権なのだろうかとも考えていた。

コインランドリーには私が取り出した洗濯もんをたたんでいる女性がいた。
その女性は私よりはるかに若かったが、おそらく子育てにでも疲れているのだろうか、
顔に生気がなく表情には老いに似た兆候が、おりたたむ指は力なく、だらしなく洗濯もんがふらふらと重ねられていただけだった。自分が今なにをしているのかわかっているのだろうか、この女性は。彼女の心を占めていたすべてとはなんだったのだろうか。




運動体「グリーンアクティブ」

ニッポンの奇祭「ほだれ祭り」

Secret

TrackBackURL
→http://1000plateaux.blog40.fc2.com/tb.php/709-0c0d78f2