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平野勝之監督「監督失格」が凄すぎた。。
見終わって時間が経てば経つほど衝撃の波がつぎつぎやってくる。
ちょっと、どうしていいかわからない。
この衝撃をなだめて抑え込むことはできるかもしれないが、
それが正しいことかわからず、いまはこの衝撃をちゃんと受け止めたい気がする。
無意識が開放されたのか、昨日は変な夢をたくさん見た。(以下ネタバレあり)


この映画の衝撃はかつて愛した人の遺体を発見する現場が映像として残されていることだけにあるのだろうか。
それだけなら、動画サイトとかで見られる衝撃映像のたぐいと変わりはない。

小津は「映画は人間の感情がきちんと描かれていればいいんです」とよく言ったそうだ(確か)。
そういう意味でこの映画は感情がきちんと描かれている。端的に。
誰もが皆、泣き笑い怒り悲しみ絶望する。
その振れ幅の激しさにこの映画を見ている間中ずっと向き合うことになる。

監督は「撮らされた」作品としてこの映画をとらえている。
そういう他律的な感覚がこの映画の抱え込んだ世界を大きくしている。
その大きさに監督自身が翻弄されている。
いちおう、監督の「再生・復活」ということで作品のケリがついた形になっているが、
そんなところに落ちる作品ではなかろう。

その「大きさ」あるいは「大いなるもの」から目をそらすために、
カット割りや編集、音楽といったものがあるのだろうとふと考えた。

この映画が2時間ではなく3時間の作品なら、
その「大いなるもの」の背中がはっきりととらえられたかもしれない。

ああそれにしても由美香の葬儀のシーンはカメラを回して欲しかった。
過去の男たちが棺を運ぶ奇蹟のようなシーンが見たかった。静止画ではなく。



ちょっと倍率をかけると、もう小説という内部は現実という外部と断絶するんですがね。
森敦『対談・文学と人生』


『監督失格』予告編


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