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「自分が誰なのか、すごく気になる」

記憶喪失で保護された男性が自分の情報提供を呼びかけていた。

私の知らない私、のことを知っている、誰か、を探す。

苦しいのだろうか。むしろ楽しいのではないかと他人ごとのように夢想する。


「ホラ、ぼくは記憶からできてできて、どうして記憶から脱れることができるか、なやんだくらいだったからね。」
『別れる理由』小島信夫


雨が続く。

最近、ラミーサファリという低価格で出している万年筆を買って、

メモ帳に意味もなくつらつらつらと文字を書いて書き味を楽しんでいる。

ボールペンがなぜ存在する必要があるのか不思議に思えてきた。

万年筆の滲むインクの文字の素晴らしさにうっとりしていると、

学生の頃よく手紙をくれていた女性を思い出した。

その手紙の文字も滲んでいたから、今ふいに思い起こした。

彼女は万年筆で書いていたのだから、きっと真摯な思いが込められていたのだろう。

そういうことを十数年たって受け手の自分が考えているのだから、彼女の誠意がいま届いたのと同じことだろう。

こういういろんな遅延と「つづき」を幾層にも抱え込みながらみんな同じ時代を生きている。

電子メール。手紙。伝書鳩とか使って良い知らせを送ってみたい。

伝書鳩は仕事を終えた後また元のところに帰還するのだろうか。

検索せずに夢想したい。


そして


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