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2010.02.08 深く座って
ホッパー


ホッパーの画集をめくっていたら、喫茶店について書きたくなった。

喫茶店は愛すべき場所のひとつ。喫茶店という存在が世界に必要だとはじめに考えついた人は偉大だ。酒場なんかは思いつきそうだけど、喫茶店を創造させたひとが初めにいたことが素晴らしい。タバコは吸わないけど、喫茶店は吸える場所であっていいかなと思う。喫という字はそういう意味なのだろうし、全席禁煙の喫茶店なんてつまらない。

ピカピカに磨かれた皿とかスプーンとか、カップが皿に当たるカチャという音や周囲でどれだけ会話がなされていても耳に遠い感じとか、年期のはいって艶の出たテーブルやカウンター、店主のエプロンやひげ、新聞紙や小説、意外に強いオレンジのライト、自分の指とかコーヒーの渦巻いてる表面とか見るとはなしに見る仕草、ナプキンを過剰に折ってみたり、いろんな愛すべきものたちがたくさん散りばめられ、至福な時間を提供している。

山猫、慶、ドン、進々堂、ライオン、ブルボン、八十八夜、武蔵野文庫、静香、六曜社…喫茶店の名前にすでにロマンが漂っている。

喫茶店とは深く座る処である。ひとりであれ、ふたりであれ、深く座る処だ。チェーン店ではどうしても座りが浅いのだ。ドトールの椅子では固有の時間が流れにくい。

いままでいろんな喫茶店に行ったと思う。スタバとかドトールみたいなチェーン店に入ることもあるけど、そうではない世界で一店舗だけのちいさな喫茶店がいい。年老いたら世界で唯一無二の喫茶店を開いてみたい。シュークリームのおいしい喫茶店を。


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